爆速で立ち上がったNOT A HOTELの情シスチーム ─ チーム・ビルディングが導いた、価値提供チームへの進化
実は、NOT A HOTELの情シスは長らく一人体制でしたが、今年に入ってものすごく優秀なメンバーが2名加わり3人体制になりました。新しいメンバーを迎え入れてパワーアップした体制についてご紹介したいと思います。
NOT A HOTELは完全フルリモートの会社で、チームメンバー同士の接触機会が限られています。オフィスのような共有スペースがないため、「ちょっと良いですか?」といった気軽な声かけも難しい環境です。
こうした環境下では、新メンバーの立ち上がりにより多くの時間と努力を要します。優秀なメンバーが存分に活躍できる環境を整えることが、私の責務です。
そこで私たちは、新メンバーの立ち上がりを積極的にサポートし、個人の成長とチーム全体の成功を同時に実現するため、チームビルディングを実施し、爆速での立ち上がりにチャレンジした具体的な取り組みをご紹介します!
まずは、ワーキングアグリーメントを定めて心地よい仕事の進め方をすり合わせしよう!
ワーキングアグリーメントとは、
Ryuzeeさんのブログから引用させていただいております。
チームが効果的に協働するための共通の約束事や規範のことです。 Googleなどは良いチームのポイントとして「集団規範」を挙げていますが、このような規範を明確にするものです。 ワーキングアグリーメントは、チーム全員で議論して納得した内容を明文化するものであって、 プロダクトオーナーやステークホルダーが強制するものではありません。 以後レトロスペクティブごとに見直していくと良いでしょう。 ・守るのに注意が必要な項目に絞り込む(ホワイトボードの脇に貼れるくらいの量)、当たり前にできるようになったことを削除するなどして、軽量に保つようにします。 ・働き方の合意なので、スクラムチームによって内容は異なります。 引用: ‣
効果的なワーキングアグリーメントは、チームメンバー全員が理解し、遵守することで、より良い協働環境を実現します。
定めたワーキングアグリーメントは下記の通りです。

やってみての効果
このワークショップの最大の利点は、お互いが心地よく仕事を進められる方法を事前に合意できることです。
例えば、
- 不安なく仕事を進めるために、確認を丁寧に行いたいという要望や、
- 作業で詰まった際はHuddleですぐに確認したいという声、
- Daily Meetingで昨日の進捗や課題を話し合い、解決する時間を設けたいという提案など。
このような合意事項をチームで共有することで、初めから心理的安全性の高い環境で仕事を進められるというメリットがあります。
リモートワーク環境下だと、ひとりで悶々と悩む時間とか精神的にもキツいですからね。。
と言っても、Huddleして相手の時間を拘束するのは気が引けるし、話かけるのも勇気がいりますよね。
だけど、事前に「困ったら周りに助けてを求めて良い。」「ハドルはいつでもOkay」って価値観を事前に認識をすり合わせることで、Huddleを開始する時に「それは相手にとって迷惑じゃないんだ!」って分かってる状態なので、心理的な負担なく、元気よくHuddleできます。
メンバーの精神的にも、チームとしての進捗も良くなるので Win-Winな状態になります。
また、ワーキングアグリーメントは固定的なものではなく、定期的なレトロスペクティブで見直しを行い、より良いチーム運営へと発展させていくのが大事です。
チームのスキルマップを作る
チームのスキルマップとは、チームメンバー各自が持つスキルや知識レベルを可視化したものです。これにより、チーム全体のケイパビリティを把握し、効果的な業務分担や育成計画を立てることができます。
スキルマップを作成する効果
- チーム全体の強みと弱みが一目で分かり、補完し合える部分を特定できる
- 新メンバーの育成計画を立てやすくなる(誰から何を学べるかが明確)
- 業務の属人化を防ぎ、知識やスキルの共有を促進できる
- チームメンバー各自の成長目標の設定に活用できる
スキルマップは定期的に更新することで、チームの成長度合いを可視化することもできます。また、新しい技術やスキルが必要になった際の学習計画立案にも役立ちます。
作成のポイント
- 必要なスキルを細かく分類し、レベル分けを行う(例:初級、中級、上級)
- 技術スキルだけでなく、ソフトスキルも含めると良い

このワークの効果
得意なこと、逆に苦手なことを、自然に自己開示できて良いんですよね。
普通に仕事してて「自分、これめっちゃ得意なんすよ〜 💪」って言わないじゃないですか(笑)
言う人いるかも知れないけど、自分はそういう自己アピめっちゃ苦手です。
このワークすると自然と伝えられて良いんですよね。
あと「えっ、そんなことまでできるの?すごいじゃん。」って、知らない一面を知ることができて良いです。
例えば、コーディングがあまり得意ではないメンバーに、ガチガチの開発タスクがアサインされてしまった場合。本人は「できない」と言い出せず、悶々と悩みながら進捗が出せない。でも今さら言い出せなくて…最終的に行き詰まって、チームもようやく気づく――。そんなケースは、決して珍しくありません。
こうなると、担当者本人も辛いですし、チーム全体としても価値提供の時間が伸びてしまいます。
だからこそ、このようなワークを通じて、自然と自分の得意・不得意やスキルレベルについてディスカッションできる機会があることは、とても大切です。自己開示の場があれば、「開示するための助け」も自然と整います。そうしたディスカッションを重ねることで、お互いの理解も深まり、より良いチームワークにつながっていきます。
また、伸ばしていきたい項目なども明示することで、そのスキルの案件があればお願いしやすいし、「自分やります!」って言いやすくなる効果があります。熟練な人に教えてもらうとか、相手を頼りやすくなります。
そして、このワーク最大の効果は、チームで不足しているスキルを見える化することで、足りないスキル、属人的になってるスキルがあれば、チームとしてどう解消すれば良いか?を考えることができます。
例えば
- みんなでできるように習得する。
- 人を新たに採用する
など考えられますし、チーム全員で現状認識し。課題意識を同期し、はっきり理解することができます。
またこのスキルマップは、定期的な更新を行い、成長を記録することもできます。
このように、チームで共有し、お互いの強みを理解する機会を設けることで、スキルマップは単なるスキルの可視化ツールではなく、チーム全体の成長と効果的な協働を促進するための重要なツールとなります。
ドラッカー風ワークショップを行って、お互いの得意なこと、苦手なこと、価値観の自己開示を行って、チーム内での期待のすり合わせを行う
ドラッカー風ワークショップとは、
ドラッカー風ワークショップは、ピーター・ドラッカーの「プロフェッショナルの条件」を基にした自己分析手法です。主に以下の質問について考え、共有していきます:
- 自分は何が得意なのか
- 自分は何で貢献するのか
- 大切な価値観はなんですか?
- メンバーは自分にどんな成果を期待していますか?
このワークショップには以下のようなメリットがあります:
- チームメンバー間で価値観や働き方の特徴を共有し、より効果的な協力体制を築けます
- お互いの強みを活かし、弱みを補完し合える関係性を構築できます
- お互いの期待を宣言するので、頑張る方向性を見誤らない
特にリモートワーク環境では、このような深い相互理解の機会が限られているため、意図的にこのようなワークショップを実施することが重要です。
こちらが実施結果です

やってみての効果
4つのタフな質問ごとに、その効果を解説します。
「自分は何が得意なのか」
スキルマップでも触れてますが、もっとソフトスキル寄りの話です。自分が得意と思ってることを書いていきます。それを自己開示して相手を知れます。またメンバーから自分もそう思うということを付箋に 👍️することで認識が擦り合いますし、その得意項目に自信を持てるようになります。
得意なことを知れると、自然と相手に頼りやすくなりますし。そういうの繰り返すとチームの関係性が良くなるのも自明ですよね。
「何で貢献するのか?」
こうやって貢献したいと考えているのを開示してもらうことで相手のことを知れるし、こうやって欲しいってことを伝えることができる。
何で貢献しようとしていることを知る & すり合わせすることで、 “頑張る方向性” を見誤らないことができます。
「すっげー頑張ってるんだけど、会社が評価してくれないんすよ。」って人は、だいたい頑張る方向性がズレてるんすよ。 それがなくなります。
頑張る方向性がズレてるを野球で例えると
- チームは「守備力重視」なのに、三塁手が「ホームラン打てれば守備は多少エラーしても許されるでしょ」と考えている
- リリーフ投手に求められているのは「与四球を避けて確実にアウトを取ること」なのに、「奪三振数を増やしたいから緩急をつけまくります」と独自の投球をする
それぞれ個人の「頑張り」自体は悪くないのですが、チームが求めている方向性と異なってると、価値が少なく評価されないんですよね。
「大切な価値観はなんですか?」
これは「価値観を知る」ことでとても大きな助けになります。仕事の進め方の型も知ることができます。
例えば、成果物を
- 早めに確認をしたい人なのか
- 出来上がってからレビューを受けたい人なのか
仕事の進め方の型を知っておくだけでも、無駄な感情の対立が発生しないので、もうストレスフリーですわ。
僕は情報の透明性がとても大事だと考えているので、ミーティング議事録は必ず共有するし、共有してもらうようにしています。 など、仕事における地雷とか聞いておくのも良いです。
ウチのチームは3人とも共通して「依頼された仕事を取り上げられると怒る」があったので、そういうことはしないようにしようって思いました(笑)
「メンバーは自分にどんな成果を期待していると思うか?」
これは他のメンバーが自分にどんな成果を期待しているか?を想像して書きます。メタ認知をフル動員して考えます。 さっきもありましたが、ここズレてるとマジでしんどいので。自分が成果を出す方向性を正しく整理することが大事です。
自分で書いたことが一致してたらリアクションをもらってすり合わせを行います。
その後、メンバーから期待していることを書いてもらいます。頑張る方向性がピッタリとここまで実施すると定めることができました。
終わりに
実施してみての感想をチームメイトに聞いてみました。当初の狙いどおりにできてよかったっす。

転職したてで、こういう取り組みが無いと「どういう方向性で頑張ったら良いんだっけ?」を上司や同僚の心の底を探り合いとか必要ですよね? そういうの無くすことができます。
頑張る方向性が定まったならば、あとはやるだけってなるので、安心して推進することができます。チームビルディングを実施することで、チームメイトの価値観、仕事の型、考えてること、貢献したいこと、伸ばしたいスキルを知ることができて本当に良かったです!
チーム体制に悩んでいたら、みんなの現場でもやってみてください!
「もし。どうやったら良いかわからないよー」って方は、自分ファシリできますので、お気軽にXのDMとかで相談してください。
皆さんの参考になれば幸いです!
NOT A HOTELでは、以下のポジションがオープンしています。 ご興味ある方カジュアル面談しましょう!